姫路市
イベント
1,000円
通常価格――円
特別
価格
価格
(2026/10/03)第45回「100分de名著を料理するーオルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』」
詳細
【参加者募集】第45回「100分de名著を料理する」
オルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』
―「幸福」という名の支配。便利で快適な社会は、本当に「すばらしい」のか?―
ENGAWAプロジェクトでは、毎月第1土曜日の午後、NHK Eテレ「100分de名著」のテキストを素材にした対話型読書会「100分de名著を料理する」を開催しています。
私たちが大切にしているのは、名著の内容を「勉強する」ことだけではありません。一冊の本を入口として、自分自身の人生や社会を振り返り、互いの体験を語り合いながら、「自分ならどう考えるか」「自分の人生とどこでつながるか」を探していきます。これは前回の『シュルレアリスム宣言』でも大切にしてきた、この読書会の基本姿勢です。
第45回となる2026年10月3日(土)のテーマは、イギリスの作家オルダス・ハクスリーのSF小説、
『すばらしい新世界(Brave New World)』です。
1932年に発表された作品ですが、読み進めるほど、「これは本当に100年近く前に書かれた小説なのだろうか?」と驚かされます。
生成AI、アルゴリズム、SNS、ゲノム編集、行動データ、依存性の高いコンテンツ、そして「最適化」という言葉に囲まれて暮らす2026年の私たちにとって、恐ろしいほど身近な物語だからです。
今回の「100分de名著」では国際ジャーナリストの堤未果さんを講師に、ハクスリーが描いた超管理社会を「幸福という名の支配」という視点から読み解きます。NHK出版も、人々が不満を抱かず「幸福」に暮らす一方、人間本来の自由や尊厳が残されているのかを問い、現代のゲノム編集やスマホへの快楽依存などと重ねながら、「最適化至上主義」から抜け出す道を考える内容として紹介しています。
■ みんなが「幸福」なら、それでいいのか?
物語の舞台は、はるか未来の「世界国家」。
そこには戦争も貧困もなく、人々は不満をほとんど抱かず、社会は驚くほど安定しています。
しかし、その幸福には秘密があります。
人間は自然に生まれるのではなく、工場のような施設で人工的に「製造」され、生まれる前から階級ごとに能力や役割を調整されます。成長の過程でも徹底した条件づけが行われ、自分の置かれた境遇に疑問を抱かない人間へと育てられていきます。
家族というものもありません。
深い恋愛関係も必要ありません。
悲しみや不安を感じれば、それを和らげる薬物「ソーマ」があります。
欲しいものを消費し、娯楽を楽しみ、不快なことを考えずに暮らす。
誰もが「幸福」です。
しかし、ここでハクスリーは私たちに問いかけます。
「不幸を感じる自由を失った社会を、本当に幸福な社会と呼べるのだろうか?」
恐怖や暴力によって人々を服従させるのではなく、「楽しい」「便利」「快適」という感覚によって、人々が自ら進んで管理されていく。この点が『すばらしい新世界』の不気味さです。NHK出版の解説でも、恐怖による支配ではなく、娯楽や快楽によって考える必要そのものを失わせる社会として、現代のSNSや動画サービス、アルゴリズムとの類似が指摘されています。
■「野蛮人」ジョンから見る文明社会
そんな世界に、一人の異質な人物がやってきます。
「野蛮人居留地」で育った青年、ジョンです。
彼はシェイクスピアを愛読し、その言葉を通して、愛、嫉妬、悲しみ、苦悩、希望、死といった人間の感情を理解してきました。
そして文明社会へやってきたジョンは驚きます。
そこには苦痛がない。
しかし、深い愛もない。
争いがない。
しかし、自分の信念を貫くために誰かと衝突することもない。
誰もが満足している。
しかし、自分自身に「私はどう生きたいのか」と問う必要もない。
逆に文明社会の人々から見れば、ジョンの方こそ理解不能な「野蛮人」です。
恋愛感情をシェイクスピアの言葉で語るジョンに対し、レーニナはまったく違った価値観で愛情を表現します。
二人は同じ人間なのに、言葉の背後にある文化や価値観が違うため、互いを理解できません。
この場面は、SNSによって人々の価値観が細分化され、それぞれが自分と似た意見ばかりに触れる「エコーチェンバー」が問題となる現代にも重なります。
同じ言葉を使っているのに、実は同じ意味を共有していない。
そんなことは、私たちの日常でも起きていないでしょうか。
■ アルゴリズムが「あなたの好きなもの」を決めてくれる時代
今回、ぜひ皆さんと考えてみたいのが、『すばらしい新世界』と生成AI・SNS時代との関係です。
YouTubeを開けば、自分が好きそうな動画が並びます。
SNSを開けば、自分が関心を持ちそうな投稿が表示されます。
通販サイトは欲しくなりそうな商品を薦め、音楽サービスは好みに合いそうな曲を選んでくれます。
そして生成AIに尋ねれば、旅行プランから献立、文章、画像、仕事のアイデアまで提案してくれるようになりました。
便利です。
私自身も毎日のように利用しています。
しかし、ここで少し立ち止まって考えてみたいのです。
「自分が選んだ」のと、「選びやすいように提示されたものから選んだ」のは、本当に同じなのでしょうか?
さらにAIが進歩し、「あなたにはこちらの方が向いています」「この選択の方が幸福になります」と高精度に提案できるようになったとき、私たちはどこまで判断を委ねるのでしょう。
便利になること自体が悪いわけではありません。
問題は、便利さと引き換えに「自分で考え、迷い、選択する」という人間の営みまで手放してしまわないかということです。
『すばらしい新世界』の恐ろしさは、管理されている人々自身が、その状態を苦痛だと思っていないところにあります。
■「不快な情報を見ない自由」は幸福なのか?
現代では、自分が見たくないものを簡単に排除できます。
気に入らないアカウントをブロックする。
自分と考えの近い人だけをフォローする。
好きなニュースだけを読む。
嫌な動画はすぐに飛ばす。
もちろん、それによって自分を守ることが必要な場合もあります。
しかし、社会全体が「自分にとって心地よい情報」だけを見るようになったらどうなるでしょう。
『すばらしい新世界』では、歴史や文学、芸術など、人間に深く考えさせ、時には社会の安定を揺るがしかねないものが遠ざけられています。現代の「ポスト・トゥルース」や、自分好みにカスタマイズされた情報環境との接点を指摘しています。
ここには前回取り上げた『シュルレアリスム宣言』との、興味深いつながりも見えてきます。
ブルトンたちは、合理性によって抑圧された夢や無意識を解放し、「人間を取り戻そう」としました。
一方、ハクスリーが描く世界では、人間の不合理さそのものが社会から取り除かれていきます。
悲しむ。
迷う。
失敗する。
嫉妬する。
悩む。
誰かをどうしようもなく好きになる。
答えの出ない問いを抱える。
効率という物差しだけなら、どれも「無駄」かもしれません。
しかし、その無駄を取り除いてしまったあとに残るものを、私たちは「人間」と呼べるのでしょうか。
■ ゲノム編集――「よりよい人間」を作ることは幸福なのか
もう一つ、1932年にはSFだったものが現実へ近づいています。
生命科学です。
『すばらしい新世界』の冒頭には、人間が工業製品のように生産される世界が描かれます。ハクスリー自身が科学者の多い一族に生まれ、科学万能思想を身近に知っていたことも、この作品を考えるうえで重要な背景です。堤未果さんも、現代の生命操作や遺伝子選別を取材してきた立場から、作品と現在との接点を論じています。
病気を防ぐために遺伝子技術を使うことと、
より高い知能を持つ子どもを望むこと。
病気になりにくい身体を望むことと、
容姿や身体能力まで「選ぶ」こと。
その境界はどこにあるのでしょう。
そして、社会が「望ましい人間」の条件を決め始めたとき、そこから外れた人はどうなるのでしょう。
技術そのものを善悪だけで判断するのではなく、
「私たちは、その技術によってどんな社会をつくろうとしているのか」
という問いが必要なのだと思います。
■「100分de名著を料理する」で語り合いたいこと
今回も、作品の「あらすじを理解する会」だけにはしたくありません。
皆さん自身の経験から、たとえばこんなことを語り合ってみたいと思います。
「便利になったことで、逆に失ったものはありませんか?」
「自分で選んでいるつもりが、実は誰かに選ばされていたと感じた経験はありますか?」
「幸福と自由、どちらかを少し犠牲にしなければならないとしたら、どう考えますか?」
「悲しみや失敗、苦労は人生からなくした方がよいのでしょうか?」
「自分とまったく価値観の違う人と、本当に対話することはできるでしょうか?」
そして、
「AIが自分よりも『自分にとって最適な答え』を知るようになったとき、それでも自分で選びたいですか?」
こんな問いを、正解を決めるためではなく、それぞれの人生経験を持ち寄って「料理」してみたいと思います。
■ はじめて参加される方へ
SF小説に詳しい必要はありません。
『すばらしい新世界』の原著を読破していなくても大丈夫です。NHK「100分de名著」のテキストを読み、番組を見ながら、「自分はここが気になった」「これは今の社会にもあるのでは?」という自分なりの問いを一つ持ってきてください。
前回の案内でもお伝えした通り、この会は「正しい答え」を探す勉強会ではなく、一人ひとりの人生経験を大切にする対話の場です。名著を読み、自分の経験という調味料を加え、みんなで「料理する」。
今回の作品には、おそらく簡単な答えはありません。
むしろ答えが出ないからこそ、みんなで話してみる価値があります。
■ 開催概要
日時:2026年10月3日(土)14:00~16:00
会場:みんなの秘密基地(姫路)+Zoomオンライン
開催方法:ハイブリッド開催
定員:会場8名程度・Zoom8名程度
参加費:1,000円
参加方法:本投稿へのコメント、または和﨑まで直接ご連絡ください。
今回のNHK「100分de名著」のテキストは、2026年9月号、講師は国際ジャーナリストの堤未果さんです。全4回を「完璧な管理社会は幸福か」「文明社会が捨て去ったもの」「言葉が共有できなくなる時」「自発的に隷従する人々」というテーマで読み解きます。
■「私は不幸になる権利を要求する」
『すばらしい新世界』が私たちに突きつけるのは、「管理社会は怖い」という単純な警告だけではないように思います。
もっと厄介なのは、
「自分が幸福だと感じているなら、自由を失っていても構わないのか」
という問いです。
安全で、便利で、争いがなく、欲しいものが手に入り、不快な気持ちになればすぐに解消できる。
そんな社会を「悪い社会」と簡単に言えるでしょうか。
だからこそ、この作品は怖い。
自由とは、好きなことだけを選べることではなく、時には迷い、苦しみ、失敗し、それでも自分で選び直すことなのかもしれません。
前回の『シュルレアリスム宣言』では、「常識や理性の外側にある人間」を考えました。
今回は『すばらしい新世界』を通して、
「すべてが最適化された世界に、それでも人間らしさは残るのか?」
を考えてみたいと思います。
1932年に書かれた未来小説を、2026年の私たち自身の物語として読み直す2時間です。
10月3日、みんなの秘密基地とZoomで、一緒に「すばらしい新世界」を料理しましょう。
皆さまのご参加をお待ちしています。
トピック: (2026/10/03)第45回「100分de名著を料理するーオルダス・ハクスリー『すばらしい新世界』」
時刻: 2026年10月3日 02:00 PM 大阪、札幌、東京
ミーティングID: 821 0226 5778
パスコード: 056085
条件
オンライン参加の場合は、現金決済は行えません。
Paypayでも支払い可能になりました。
Paypayでも支払い可能になりました。
Paypay決済の方は、支払後に事務局宛に、下記の内容をメール送付(info@memenet.or.jp)ください。
氏名・メールアドレス・連絡先TEL
それ以外は、「ゆいトレ(Paypal)」で決済してください。
ゆいトレは、ユーザー登録が必要です。
このクーポンに関するお問い合せはこちら




